クラッチ張り付き

皆さんの中にもクラッチの張り付きを経験された方がかなりいらっしゃるのではないでしょうか。特に梅雨どきに多く発生するやっかいなトラブルです、原因は多分磨耗したクラッチフェーシングの石綿の粉が湿気によって糊の役目をしてディスクが張り付くのではないかと思います。 現代の車にはあまり発生しないようですが、古い英車には度々発生する不具合です。今までの経験では、MG系ではそれほど多くありませんでしたが、ロータスエラン セブン系では数え切れない程経験しました。 これを予防する方法は定期的(梅雨から夏にかけては最低週1回)にエンジンを掛けて少し前後に動かすか、完全に空調の効いたガレージに入れる事くらいしか思いつきません。
運悪く張り付いてしまったときはどうすれば良いでしょうか。 先ず張り付きが初期段階であれば、ギヤを1st(リバースでも可)に入れてクラッチをいっぱい踏んで同時にブレーキも踏んでスターターをまわします、これで剥がれるはずです。更にこれで剥がれない場合は、後部をジャッキアップしタイヤを浮かした状態でスタンドをかい、ギヤを2nd或いは3rdに入れてクラッチをいっぱいに踏んでエンジンを掛けます、クラッチは踏んでいますが張り付いているのでリヤホイールは廻ります、ここで少しスロットルを踏んで回転を上げます、そこで間髪を入れずブレーキを思いっきり踏みます、この衝撃で重症でなければ剥がれると思います。 ただしこの方法をロータスエランで行う場合注意しなければいけないのは、後部をジャッキアップしリヤサスペンションが伸び切った状態だとドライブシャフトに角度が付いてラバーカップリング
が非常に変形した状態になっています、このまま回転させるとカップリングに大きなダメージを与える可能性がありますのでストラット直下にスタンドをかうなど出来るだけカップリングの変形が少ない状態にする必要があります。 更に更にこれでも剥がれない重症の場合(MG系であれば今までの方法で殆ど剥がれる筈です)は、ジャッキを外して車を下ろし前方の安全を確認しギヤを1stに入れてクラッチを踏みスターターを回します、車は徐々に前進しエンジンが掛かります、掛かった処でスロットルのON ,OFFを繰り返し車を前後に揺すって駆動系に衝撃を与えます、これで殆どの張り付きは直るはずです。 しかし、車の置いてある周りの環境やその他の事情でこの方法が出来ないもありますし、又この方法は駆動系やリヤサスペンションに非常に大きな力が掛かりますのでその辺の強度があまりあるようには見えないエランやセブンにはあまりお勧めできません。 と言う事で、当ガレージでは重症のエランやセブンの張り付きは以下の様な方法で修理しています。

スターターモーターを取り外しその穴からクラッチハウジング内に手を入れて修理すると言う方法です。具体的に説明すると、左の写真がエランのクラッチカバーでフライホイールに取付っれている訳ですが、赤線で示した部分はフライホイールとの取付面との間に3mm程の
隙間があります、これは全周に6箇所ありますがこの隙間から下の写真のようなヘラ状の物を差し込んで張り付きを剥がします。このヘラ状のツールは不用になった金ノコの刃を折って先端をナイフ状に鋭く研いだ物で後端は押し込み易いように熱を加えて曲げた物で長さは6〜8cmくらいです。
ここでもう一人応援を頼みクラッチを踏んでもらいます、そして作業は手探りで指先の感覚を頼りにおこないます。 クラッチの構造はおよそ一番下の断面図の様にになっていますが、ここでクラッチディスクがフライホイール或いはプレッシャープレートのどちら側に張り付くかという事ですが、今までの経験では20台中19台はフライホイール側に張り付いていました。 そこで、ツールをカバーの隙間からフライホイールに沿って差し込んで行きます、するとディスクの端の部分で止まりますが更に力を入れて押し込みます、頑固に張り付いているとなかなか入っていきませんがツールが折れない様に注意しながら更に力を入れて押し込みます、これを全周に渡って行います、すると最後にパカッと言う感じで剥がれるのが分かります。尚エンジンを回すにはフライホイールの廻りのリングギヤをドライバーなどでこじってまわします。もしここでディスクがプレッシャプレート側に張り付いているとツールを押し込んで行くとずっと奥まで入ってしまうので分かりますがこの場合手探りでディスクとプレッシャープレートの境目を探して押し込まなければないませんので更に難しくなります。

 以上参考になったでしょうか?