ロータスエランのステアリングラック



日頃メンテナンスさせて頂いているお客様のロータスエランの中の1台にステアリングラックの不具合が発生しました。この車は1年近く前にもステアリングラックの修理をしており、その時の状況は遊びが極端に多くなっており、分解してみた処中に水が入ったようでかなり錆びておりラックの歯も磨耗してかなり薄くなっていました、又ピニオンシャフトのブッシュも磨耗してシャフトがガタガタになっていました。その時に調べた処ステアリングラック関係の部品はエラン用としては出てきそうもなかったのでピニオンシャフトのブッシュだけをマシンショップで作ってもらい組み直した処不具合はかなり改善されました。しかし此処に来て又遊びが多目になって来てしまい、今回はアッセンブリーで交換したほうが良いだろうという事になりました。しかし勿論エラン用のステアリングラックが新品で手に入るとは思っていませんでしたがリビルト品もかなり入手困難である事が分かりました。ところで、エランのフロントサスペンション、ステアリング関係はトライアンフの部品が多く流用されており、ラックもスピットファイヤーの物をモディファイして使っていることは広く知られているところです。そこで、エランとスピットのそのへんの違いですが、先ずフロントのトレットがスピットの方が45mm程広い、しかしこれはなんとかなりそうです、もう一点はスピットはロックトゥロック 3.5回転とかなりスローなことです、このままエランに使うとステアリングフィーリングがかなり変わってしまうことが予想されます。そんな事を考えながら英国モスのスピットのパーツカタログを見ていたらロックトゥロック 2.5回転のハイレシオのステアリングラックが新品でそれもかなり安価で供給されている事が分かり、早速これを取り寄せてみました。




上が取り外したエランのラック、下が新品のスピット用
スピット用の方全体で6cm程長いです。






全体の長さ調整の為に先ず左右両端を3cm切断してタイロッドエンドを目いっぱいねじ込んで見ましたが予想通りネジ山の長さが足りず調整し切れない状態でした。それで外したエランのラックからタイドッドを外して新しい方のラックに組み替えたらどうだろうと考えラックブーツを外した処タイロッドのボールジョイントの部分の構造が全く違っていました。すなわち、エラン用にしてもオリジナルのスピット用にしてもこの部分は分解出来る構造でジョイント部が磨耗してもシムで遊びが調整できるようになっていますが新しい方は下の写真の様に一体でかしめて作られており分解出来ない構造です。


ラックから外したタイロッドです
タイロッドエンドをさらに奥までねじ込めるようにマシンショップ
で切り欠きのすぐ手前まで細く研磨してもらいダイスでネジを
切りました。



















ネジ山を延長した状態です
これで組み付けて車両に取り付け完成しました。

エランでステアリングラックの交換を要するような時には参考にしてください。








余談ですが、ラックに貼ってあったラベルを見るとアルゼンチン製となっていました、台湾、中国、マレーシア製といった部品は珍しくありませんがアルゼンチン製を見るのは初めてです、色々な国で作らせているだなーと感心しました。アルゼンチンは農業国でトラクターなどの農業機械を作っていてこういった部品の生産設備や技術があり前出 の国々より高品質で尚且つヨーロッパよりも安価に作ることが出来るのかなーといったことを思いました。